2011年6月11日土曜日
緋牡丹博徒 1968年
監督:山下耕作 出演:藤純子 高倉健 大木実
この作品は藤純子という女優を不世出の大女優にしたまさに“歴史的な“シリーズ緋牡丹博徒の第一作目です。熊本の博徒・矢野一家の一人娘として育った矢野竜子が、父親を大木実の辻斬りに殺された。一家は離散し、堅気の男との結婚をもあきらめる羽目になるという波乱万丈の始まりでした。山下監督は最初からこの作品を東映のドル箱シリーズにしよういう意気込みでした。藤純子(既にこのとき22歳のおんな盛り)も監督の期待に見事に答えた作品でした。脚本家の鈴木則文が肥後熊本の出身であり、それによりお竜さんの生まれも肥後熊本に決まったそうです。従って矢野竜子は熊本弁なのである.「お嬢さん!!五ツ木の子守唄を」とお竜にせがむ子分の山本麟一臨終の願いを叶えて子守唄を歌うお竜さんでした。娘時代の健気な愛くるしい一人の女が親の仇討ちを誓い、故郷を終われ旅に出たのでした。一食一飯の義理を受け博徒の道に入る女の意地・侠気のお竜は女の気持ちを捨て男になる覚悟をするのである。しかし女を捨てようとしても、凛とした凄烈なる顔つきには、色香もあってまさに妖艶で官能的な女の中の女の美しさなのでした。女の任侠道映画によって東映の任侠映画は更に爆発的な幅広い支持を受けたのでした。こんな美しい女優はもう二度と現れないと思われる。まさに不世出のスターとなったのである。いつまでも私の脳裏にくっきりと浮かび上がる女優のひとりとして刻み込まれた。色彩に拘ってきた山下監督が赤い緋牡丹を基準にして、けがれを知らない娘時代にはいつも背景に白い緋牡丹でした。そして唯一人の子分ふぐ新が死んだ瞬間は黒い緋牡丹でした。そして映画のスタートとラストの場にお竜さんがご挨拶をする背景は真っ赤な緋牡丹の色でした。燃えるような赤の色でした。このシリーズ第1作目の熱情を感じ取ることができました
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