2011年6月6日月曜日

裸の島 1960年


昭和35年  監督 新藤兼人 出演 乙羽信子 殿山泰司
BSテレビ放送でこの作品を鑑賞しました。全編会話セリフがない映画でしたが、画面に滲み出る映像はセリフを上回る感動を与えてくれました。瀬戸内海の無人の島に貧しい生活をしている親子4人の姿を淡々と描いていました。本島から毎日水を桶に汲んで夫婦二人で4つの桶に天秤に担いで島の開墾した畑に柄杓で野菜に水をやる日常仕事の繰り返しを丹念に描いていて、人間の一生はこの繰り返しだという諦念のなかに夫婦親子のあり方を暖かく描いてくれました。大切な桶水を足を滑らして水をこぼしてしまった時、夫は平手うちを妻に食わした。それだけに貴重な大切な水だったのでした。熱病で長男を失った妻は一度だけその悲しさをやるせなさを体で爆発させおけ水をひっくり返して育てていた野菜をむしりとって嗚咽し泣き崩れたのでした。夫は今度は平手うちをするのでなくただ黙ってこらえていたのでした。妻の気持ちを理解し労わるような眼差しで見つめていました。一番ジーンと来ました。なんだか人間のつまらない毎日の繰り返しを描いているのかと思いましたが、観終わってみると何か考えさせる意味の深い作品と考えるようになりました。日常の同じ繰り返しの中からしか人生の意義を見つけだすことは出来ないのものであると。

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