2011年8月21日日曜日

人間の條件 第一部 純愛篇


原作五味川順平のベストセラー小説はずっと遅れて読みましたが、映画はこの第1部のみ封切館で見ました。小生高校3年の時で多感な物思いの青春時代にこんな素晴らしい作品に出会ったことの幸せと喜びを禁じえませんでした。日本が戦争に巻き込まれていく中で人間らしく清く正しく生きようとする一人の人間梶と妻美千子の献身的な愛の夫婦愛を何のてらいもなく謳いあげた作品は他にあったのかと思うほど圧倒的感動巨編となりました。今回一挙にBSテレビで鑑賞することが出来うれしい限りです。4部までは見ているが初めて9時間以上の大作を一挙に見ることが可能となりました。50年以上前の作品であるが、今でも反戦映画としてこれ以上の作品はなく色あせる事なく金字塔のように燦然と輝く作品となりました。私は梶が軍隊に行く前の1部2部の作品が好きでした。夫婦愛のあり方と捕虜因の中国人との信じあう人間的付き合いに光が当たり「人間同士は国境を越えて信じあえる事」を教えてくれました。新珠美千代が扮する妻美千子が素敵な演技でこの第一部作品を深く陰影の深い夫婦のあり方を見事に演じてくれました。一歩遅れるかも知れないが夫の悩みを自分の悩みと受け止めて生きて生きたいという夫婦の真髄をセリフとして吐露してくれました。一時あなたはいい子になりたいだけで陳青年を殴ったと妻から罵声を浴びせられながらも梶の必死の「俺が行かなくては人間でいられない」といって妻を説得していくのである。慰安婦の有馬稲子と捕虜の高との恋愛もきちんと丁寧に描かれていました。有馬稲子の声が艶かで艶かしい声が印象的でした。